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東大体操部部員日記

東大体操部の部員による日記です。

種まき

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こんにちは。3年の平林です。
この一週間のうちに新しい技(鉄棒のツイスト、平行棒の抱え込みダブル、屈身ダブル)が手に入って、とても興奮する一週間でした。

今日は現役向けの内容とするつもりですが、是非OBOGさんもお読みください。

最近、一気に技が出来るようになったのには訳があると思います。
それは毎練習一回でもよいからその技の動きに挑戦していたことだと思います。

自分のとっている授業に、身体運動制御論というものがあります。
内容は、「人の運動の適応、スキルの獲得の過程」についてです。
ランニングマシーンをまたいで立って、片方をあるスピード、もう片方を異なるスピードで回転ささて歩行を始めると、はじめはぎこちない歩行が再現されますが、時間が経つにつれて、異なるスピードでの歩行に身体が適応していきます。
この適応が起きた後に通常の歩行(左右のスピードが同じ)を行おうとすると、先程の適応を引きずってしまい、またぎこちない歩行が再現され、いずれ元の歩行が戻ります。

最近の講義で、この歩行の適応のスピードを速くするための実験についての説明がありました。
被験者はグループを3つに分けられます。
グループ1は左右で違うスピードの歩行を3単位時間。グループ2は左右で違うスピードの歩行を1単位時間して左右で同じスピードの歩行を1単位時間、これを3セット。グループ3は左右で違うスピードの歩行を1単位時間したあと、1単位時間のあいだ座っている(休憩)、これを3セット。
この3つのグループで適応が一番速いグループはグループ2だったそうです。つまり、新しい動きを取得するときは、グループ2のように別々の動作を交互に行うと習得が速いようです(実は適応とスキルの獲得は全く同じでなく、適応が速いといってもスキルの獲得が同様に速いと決まっているわけではないのですが)。
グループ3のように休憩を挟みながらよりも、グループ1のように連続して行うよりも、違う学習を挟んだ方が速く学習ができるというわけです。
1単位時間は、学習効果が現れる十分な長さが必要です(例えば何か少しでもよいのでコツを掴んだ気がするなど)。
この話には注釈があって、違う学習が似通っていては逆に学習の阻害が起きるようです。例えばテニスを練習した後、バトミントンを練習する。これはどちらもラケットスポーツで似通っていて、どちらの学習も遅れてしまうそうです。なので、体操に適応するとすれば、例えばツイストとディアミドフを交互に練習してはいけない、ということだと思います。

また、潜在学習と顕在学習というものが紹介されました。潜在学習は学習していることを認識せずに学習をして、顕在学習は逆に学習をしていると認識している状態で学習をします。
ランニングマシーンを2つ使った歩行の適応でいえば、例えば被験者の前にパネルで速読をさせたりなど、足元以外に意識を向かせたて学習するのが潜在学習で、例えばこのように歩くと自然に歩けると被験者にアドバイスしながら学習するのが顕在学習です。
潜在学習は覚えるのが遅いのですが、適応を失いづらく、顕在学習は忘れてしまいやすいのですが、適応が速く起こります。
自分は顕在学習で技をとりあえず覚えて、そのあと通しの中でするなどで潜在学習をする、というのがよいのかなと思っております。ツイストの前のスイング倒立は、ツイストのことばかり考えているため、潜在学習していると思います。

2つの話をして何を言いたかったのかというと、技は一点集中で練習するのではなく、ばらけて練習した方が学習が速いということです。そして、習得した後は意識せずに回数を繰り返すことが大事であるということです。
自分も平行棒のツイストばっかり練習してて、ほかの練習も並行してやろう、と思いました。
兎にも角にも、3~4月中に撒いた種が収穫できて嬉しかったです。

3年 平林